苫小牧市は、法律上婚姻できない同性カップルの関係を公的に認めるパートナーシップ制度において、同居する子どもの氏名も宣誓書受領証などに記載できるよう要綱を改正する方針を決めた。子どもの通院や保育園の送迎などを想定し、家族関係の証明が必要な場合に活用できるようにする。4月からの運用を予定している。
市はすべての人の人権が守られ、誰もが生き生きと暮らせる男女平等参画社会の実現を目指して2023年1月、同制度をスタート。これまでに8組がパートナーシップを宣誓した。
宣誓したカップルには市長名の宣誓書受領証や受領証カードを交付。法的効力は持たないが、これらを提示することで市営住宅の入居資格など一部の行政サービスにおいて、家族として取り扱われることが可能となった。
要綱改正では新たに、同居する未成年の実子または養子の氏名を同受領証、カードに記載できるようにする。市はこれまでも、認可保育施設や放課後児童クラブの利用申し込みの際、パートナーを子どもの保護者とみなしてきたが、医師からの病状説明や保育施設への送迎時など、関係性の証明が必要とされるケースが日常的にあることから、他自治体の先行事例も参考に改正を決めたという。
すでに宣誓済みのカップルも希望により対象とする。15歳以上の子どもが記載を望まない場合、自ら削除を申し立てることができるような整備も行う。合わせて、大阪府が中心となって進めている「パートナーシップ制度自治体間連携ネットワーク」への加入に向け、必要な改正手続きも進める。
市協働・男女平等参画室は28日の市男女平等参画審議会(竹田美由紀会長)で委員らに改正方針を説明した。他自治体とも協議しながら2月中に文言を詰め、3月に改正。4月から子どもの氏名記載を始める考え。同室の担当者は「性的少数者の選択肢が広がるよう、今後も市として何ができるか考え、行動していきたい」と語った。