6年の任期満了に伴うロシア大統領選は17日、全土で3日間の投票が終了して即日開票され、中央選管の暫定集計結果(開票率70%強)によると、ウラジーミル・プーチン大統領(71)が約87%の得票率で通算5選を確実にした。プーチン氏はモスクワの選対本部で「われわれは一つのチームだ」と国民に謝意を示し、勝利を事実上宣言した。
全ロシア世論調査センターの予想得票率82%を上回る圧勝。投票率は約%だった。
プーチン氏は2000年に大統領に就任し、首相時代を挟んで現在通算4期目。就任式は5月で、新たな任期は30年まで。
3年目に入ったウクライナ侵攻で西側諸国と対立を深め、昨年3月には国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状を出された。今年2月に反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が獄死。強権体質の政権長期化に、内外から厳しい目が注がれている。
選挙は占領下のウクライナ東・南部4州でも強行された。プーチン氏の得票率は「90%前後」とされるが、西側諸国などは「無効」として認めていない。
候補者は08年と並ぶ過去最少の4人。プーチン氏以外は政権に従順な体制内野党の候補で、得票率は共産党のハリトノフ下院極東・北極圏発展委員長が約4%、政党「新しい人々」のダワンコフ下院副議長が約4%、極右・自由民主党のスルツキー下院外交委員長が約3%。反戦を訴えるリベラル系は、出馬を認められなかった。
各地では15日以降、投票箱に緑色の液体が注ぎ込まれたり、記載台が放火されたりといった妨害行為が相次いだ。17日には中部ペルミで爆発が発生。政治信条など詳細は不明だが、社会不安が背景の可能性もある。西部ベルゴロド州では、ウクライナ軍の砲撃で死傷者が出た。
ナワリヌイ氏の支持者らは各地の17日正午、投票所に集結する事実上のデモを呼び掛け、一部で行列ができた。人権団体OVDインフォによると、全土で80人が拘束された。
今回の大統領選では、初めて電子投票を導入。「親プーチン」の組織票を促して投票率と得票率を引き上げる一方、不正の温床になるとの懸念も指摘された。