アイスホッケー女子日本代表・スマイルジャパンの飯塚祐司監督と主将のFW大澤ちほは、6位で終えた2021IIHF女子アイスホッケー世界選手権(8月、カナダ・カルガリー)から帰国後にオンラインで会見した。会見の中で語った大会の印象と勢力図、来年の北京五輪に向けた展望の要旨は次の通り。
【飯塚祐司監督】
―世界選手権を戦った印象を。
「サイズやスピードがある海外選手に対して、対応し切れない部分はあったが、大会終盤には若手を中心に臆することなく戦えていた。数的優位なパワープレーの成功率が低く、これを上げていかないと上位進出は難しいと感じた」
―2年ぶりの国際試合を通じて海外勢の仕上がりをどう分析したか。
「米国とカナダの2強は揺るがない。3位のフィンランドも4位以下のチームと比べ頭一つ出ている印象。この3チームに勝たなければ、北京五輪でのメダル獲得は難しいと思っている。危機感はある」
―今後の合宿などで重点的に強化したい点は。
「世界選手権で得点力の成長が見られたことは収穫。無得点だったロシア戦でもチャンスは多くつくれていた。あとはフィニッシュの部分の強化が必要になってくる。守備では通用した部分が多かったが、数的不利なキルプレーでの失点を抑える守りの構築を考えたい」
―北京五輪に向けて抱負を。
「10月には国内合宿、今冬は国際試合を予定している。いい強化をして完全な状態で北京五輪を迎えたい」
【大澤ちほ】
―世界選手権を振り返って。
「大会序盤の硬さがある中で、これまで積み重ねてきたことを表現できた大会だった。得点も欲しい場面で取れた試合もあったので成長を実感できた」
―世界選手権を通じて強豪国打破に必要だと感じたことは。
「1対1のバトル強化は成果が出ていたが、ゴール前のバトルでは弱さもあってパワー不足を感じた。個々のバトルの強さを上げることができれば点につながってくると思う」
―試合が行われた北米規格のリンクはサイズが国際規格より小さかった。影響は。
「慣れるまで時間がかかった。リンクが狭くなると、リーチの長さやフィジカルの強さが差として表れやすい。間合いの詰め方やパスのタイミングといった判断スピードを上げていく必要がある」
―3度目の五輪挑戦に向けて意気込みを。
「過去2回の経験を生かしながら、今の自分の力を出し切りたい。チームとしても強豪国との差は縮まってきていて、試合では日本ペースの時間も増えている。五輪でも支配できるゲームを目指したい」