国際アイスホッケー連盟(IIHF)ラインズマンのライセンスを持つ苫小牧アイスホッケー連盟の女性審判、奥田久美子さん(28)が1月に英国で行われた女子U18世界選手権ディビジョン2グループAで、初の国際大会でのジャッジを担当した。「もう一度海外舞台で笛を吹きたい」と力を込めた。【電子版の「インタビュー」で紹介】
奥田さんは日本アイスホッケー連盟の推薦で、2020年1月にIIHFラインズマンのライセンスを取得後、国内で男女の試合を担当し活動の場を広げてきた。
いつか世界の舞台で―。その夢が現実になり、大きなチャンスと挑戦の機会を得た。担当した試合は「冷静にできた」と胸を張る。初の世界選手権にも「雰囲気はまるで国内とは違う舞台で、今までで一番の60分間だった。夢が現実になり、いつか世界選手権のトップクラスで笛を吹きたいという気持が強くなった」。
しかし、現地でアクシデントに見舞われ、左足アキレス腱(けん)の断裂を受けて1試合のみの担当に。「今まで準備をしてきたことがそこで終わり、とても悔しい気持ちだった」と唇をかんだ。
それでも、けがをしたことがきっかけで、レフェリーに対する考え方など自分を見詰め直す良い機会になった。現在は7月のシーズン到来に向けて週2回のリハビリに加え、自宅でのトレーニングに汗を流している。「切り替えるための準備期間と思っている」
IIHFのレフェリー評価でスケーティングや礼節など、多くの項目で高い評価を得た奥田さん。「緊張して動きが硬くなることもあるけど、いかに冷静に空気にのまれないでジャッジをするか、メンタルの重要性を感じた」。氷上でのジャッジの技術はもちろん、英語力の項目もあり「まだまだ課題だと痛感した。次の挑戦までに磨きたいポイント」と課題も見つけた。
評価に携わるレフェリースーパーバイザーから「1試合で十分審判としての能力が伝わった。もっと大きな可能性も持っている。またいつか必ず戻ってきてね」と声掛けを受けて「今まで積み重ねてきたことは間違いではなかったと自信が湧いた。忘れられない言葉になったし、レフェリーを続けていく意味を見つけた」と笑顔で話した。
今回の経験から「常に成長を続けたい。いつでも自信を持って、その瞬間を楽しむことが大切ということを改めて感じた。また世界選手権でのジャッジに挑戦するために、国内でも日々努力を重ねていきたい」と力強く語った。