街なかの野生

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  • 2025年1月9日

  昨年11月下旬、日曜の取材合間の昼下がりに苫小牧市表町の店舗駐車場から見て斜め上空を大きな鳥一羽が一方向へ羽ばたいているのが分かった。焦点距離300ミリの望遠レンズを付けたカメラをバッグから取り出して、とっさに連写してみた。羽の前縁は白く、太いくちばしは真っ黄色。北方から越冬しに来るオオワシだった。見掛けの上で小さな米粒大の対象にピントが外れて撮影は失敗した。

   以前8年住んだ千歳市では千歳川沿いの森や支笏湖畔で冬によく目にし、500ミリレンズ装着のカメラで、飛び、狩りをする個体を写真付きの短い記事で幾度か紹介した。苫小牧の市街地上空でも年に数回、オジロワシを見掛けたことはあったが、もっと大きいオオワシは再居住後4年ほどで初めてだった。ことわざ「足元から鳥がわく」のように身近なところで、突然思いがけないことが起きた。

   苫小牧市美術博物館で3月まで開催の企画展「足もとから見つける、まちの自然」が面白い。市内で見られる動植物の各種標本や記録映像といった資料約300点を集めて昨年末に開幕した。近ごろ、鳥類では市街地でカササギを見る機会が増えた印象を持っていた―。訪ねてみて解説に教えられ、得心したことは数多い。興味ある人は足を運んでほしい。(谷)

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