◇5 映像で歴史に変わる 感じた大きな可能性

  • 特集, 記者ノートから2024
  • 2024年12月14日

  今年、白老町内で撮影、制作された短編映画の上映会が10月12~14日の夜、白老小、白翔中、虎杖小の3校の校庭で行われ、町民ら計約250人が鑑賞した。見慣れているはずの町内の風景や人物の姿にぐっと見入る町民の視線が、なぜか輝いて見えた。

   社台と虎杖浜では、廃屋や倉庫の壁を利用して地域の歴史を伝える屋外写真展が行われているが町民の姿を捉えた映像を制作するのは初めての試みだ。今年制作された映像は、いずれも30分以下の短編5本。中でも白老山岳会などの協力で地元高校生が社台の滝を目指す映像作家伊藤広大さん(41)による「きみたちの冒険譚」や老舗喫茶店の歩みと今を描く李炫沃(イ・ヒョンオク)さん(45)の「喫茶休養林」が印象的だった。

   町民の生活が記録される映像に今の町民の暮らしや習慣、文化などをありありと後世に伝えられるという意味で、大きな可能性を感じた。

   例えば虎杖浜の水産加工の現場で働く女性たちの思いに耳を傾けたり、漁師の一日を追ったりした映像はとても貴重で、時がたてばたつほど資料価値が増すはずだ。

   上映会の会場で交通整理を終えて一息ついていた町民ボランティアの男性が数人、スクリーンにくぎ付けになっていた。「母さん元気そうだな」とか、知ってる地域が映ると「あっこ(あそこ)でねえか、ほら駅の裏の」といった雑談が始まる。映像は今を生きる町民の思い出にもなっていると感じた。

   白老小の会場を訪れた萩野在住の高校教諭志田健さん(58)は「町外の人から見た白老町が画面に現れており、町を新鮮に感じた」と感心しきりだった。

 (半澤孝平)

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