【ソウル時事】韓国国会は14日午後、「非常戒厳」を3日に宣言した尹錫悦大統領の弾劾訴追案を再び採決する。与党「国民の力」は反対する方針だが、8人以上が造反すれば可決され、尹氏は職務を停止される。大統領が弾劾訴追されれば、韓国史上3人目となる。
尹氏は12日の談話で「弾劾であれ捜査であれ堂々と立ち向かう」と表明。進退を与党に一任するという前言を翻した。これを受け、与党の韓東勲代表は弾劾訴追案に賛成すべきだとの立場に転じ、7人の議員が賛成する意向を公表した。採決は無記名投票のため、賛成票がさらに増える可能性がある。
7日に行われた1度目の採決では、与党のほぼ全議員が投票に参加せず、廃案に追い込んだ。ただ、世論調査では弾劾に賛成する国民が75%と圧倒的。聯合ニュースによると13日の時点で2度目の採決に参加意向を持つ与党議員は20人超に上る。
一方で、与党には尹氏に近い議員が多く、弾劾訴追案に反対の方針は維持されている。同党は14日午前も議員総会を開催。党ナンバー2の権性東院内代表は「党の方針に従ってほしいと訴えるしかない。強制する方法はない」と説明した。
弾劾訴追案は最大野党「共に民主党」など野党6党が12日に再提出した。戒厳宣言後、国会に軍が投入された上、一切の政治活動を禁止する布告が出されたことが、戒厳下での国会活動を認めた憲法に違反するなどと指摘している。
同案可決には在籍議員(定数300)の3分の2以上の賛成票が必要。野党や無所属など計192人に加え、与党の8人が賛成し可決した場合、韓悳洙首相が職務を代行する。憲法裁判所が180日以内に弾劾の妥当性を判断。裁判官6人の賛成で尹氏の罷免が決まれば60日以内に大統領選が行われる。