苫小牧市春日町のさいとう楽器が10月に楽器店舗の業務を終えた。創業65年の老舗。隣接の音楽教室などの事業は継続するものの、店舗と音楽館の業務を終えたことに寂しさを禁じ得ない。長くまちの「ミュージックショップ」を守り続けた経営者のご努力をたたえたい。
60代のコラム子にとっては1970年代が苫小牧の楽器店の黄金期だった。市内にはレコードや楽器を扱う店が5、6店あった。さいとう楽器は草分けで、音楽好きたちが足繁く通った。当時、駅前通りにあった店はレコードも楽器も楽譜も品ぞろいは市内随一。楽譜は今も大切に保存している。2階にはスタジオがあり、学校の仲間とバンドの練習でよく通った。市民会館で開かれた同店のコンテスト(スカイトレイン)にも出た。
ギターのハードケースは重たくバス車内では邪魔でしかないが、それを抱えて仲間と街中を歩くことは、自己顕示欲を解放できて気分が良かった。自己満足と若さならではの厚顔さに苦笑する。
バイトで稼いで買ったギターは、弾けなくなった今も部屋にある。仲間と再会する機会があれば、さいとう楽器の話題がほぼ半世紀のギャップを一瞬で越えさせてくれると思う。お世話になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。(司)