千歳市緑町1の緑町診療所(稲熊良仁院長)は、新型コロナウイルスの感染拡大防止の一助にと発熱外来を開設した。市内の医療機関や高齢者施設で新型コロナのクラスター(感染者集団)が相次ぎ、千歳医師会と連携し、他の医療機関で診られない発熱患者を診療する。
同診療所は総合診療科医で救急・災害医療の経験豊富な稲熊院長が今年4月に開業。発熱外来は5月8日に開設した。
患者の診察に当たり室内と屋外を区別。医療従事者は受診者との十分な感染防止措置を取っている。また、発熱受診者とその他の受診者の動線を区分。現在、発熱外来の受診者は屋外の特設テントで診療している。
稲熊院長は「新型コロナの感染が疑われても受け入れできなかったり、感染に弱いかかりつけ患者を大勢抱える市内の医療機関を守るために開設を決意した」と話す。「秋冬の3波では患者の増加が見込まれる」とした上で、「重症化する前に新型コロナ感染をチェックする屋内の発熱外来も必要。市や医師会と連携し総合的な対策を模索したい」と感染拡大と医療崩壊阻止への思いを強くしている。
稲熊院長は胆振東部地震の経験を踏まえ、太陽光発電や蓄電施設、院内はトリアージ(患者の治療の優先順位判定)が可能な間取りを有する災害対策を施した診療所に整備した。
IT(情報通信)化による診療システムは予約、受付、問診、オンライン診療までが可能。電子カルテ導入で診察時間も短縮。待ち時間など患者の負担軽減につながっているという。
発熱外来の受診は電話での予約が必要。問い合わせは同診療所 電話0123(29)3383。同診療所は日・月曜・祝日休診。