苫小牧市内の葬祭場 3密防止へ工夫凝らす、焼香時間拡大や映像中継

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  • 2020年5月16日
参列できない人のために葬儀の映像中継サービスも始まった=めもりあるグループホールディングス提供

  新型コロナウイルスの感染防止策の一環で外出時の「3密」(密接、密集、密閉)防止が求められる中、苫小牧市内の葬祭場では焼香時間を拡大して参列者を分散させたり、葬儀会場の中継映像を配信したりするなど、密集を避けるための工夫や配慮を凝らした取り組みが進んでいる。

   苫小牧や室蘭を中心に葬祭式場などを展開するめもりあるグループホールディングス(本社苫小牧市双葉町)は新型コロナの流行以降、人の密集を避けるため、通夜の出席者を少人数にするよう喪主側に要請。受け付け時間も葬儀開始の約2時間前に前倒し、参列者が分散して焼香を上げられるよう工夫している。

   今月8日からは、動画投稿サイト「ユーチューブ」で葬儀の様子を生中継で配信する取り組みも始めた。外出自粛の中で、生前に親交があった人や遠方に住む人が最後のお別れをできるよう配慮したもので、関東圏の男性は「映像を通して『参列』することができて良かった」と話したという。

   中継映像は葬儀会場の後方に設置した1台の定点カメラを通じて配信。関係者のみに限定しており、希望者は喪主から聞いたURLでアクセスできる。費用は掛からず、約1週間は見直しすることも可能。沖本善昭社長は「故人への心残りや後悔がないよう、遺族などの助けになればと思い、始めた」と語る。

   道が緊急事態宣言を発令した2月末から葬儀自体の参列者も減っており、感染防止のため身内だけで行うケースもあるが、葬儀件数はこれまでと変わらないという。

   市内大町の丸松博愛舎も焼香時に人の間隔を空け、時間も余裕を持たせるよう配慮。通夜振る舞いも弁当にし、食べる際に間隔を空けたり、持ち帰ったりするよう協力を呼び掛ける。

   市内春日町の家族葬ホール庵(いおり)は3密防止を意識し、最大30人を収容できるホールも10人以下での利用を推奨する。4月以降は葬儀規模の縮小や直接火葬する「直葬」も目立つなど、新型コロナによる影響も若干出ている。

   同ホールを運営する慈晃社の猪野勝利社長は「感染拡大の収束が見え始める頃には、葬儀の在り方自体が変化しているかもしれない。先行きへの不安もあるが、今はご遺族に寄り添って丁寧な対応を心掛けていきたい」と語った。

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