にぎやかな野鳥たち ウトナイ湖に春の訪れ

  • レンジャー通信, 特集
  • 2020年5月1日
新緑の林に、羽の黄色が鮮やかな夏鳥のキビタキ

  ウトナイ湖周辺では、ナニワズの黄色い花やホザキシモツケの出たばかりの鮮やかな緑の葉が見られ、春を感じる季節となりました。また、野鳥たちの繁殖期ならではの、縄張り争いやメスを追いかける様子、巣材を運ぶ行動も見られています。

   求愛や縄張りを主張するための「さえずり」も多く聞かれるようになりました。「ツツー・ピー、ツツー・ピー」はシジュウカラの細く高い声、「フィー!フィー!フィー!」と強めの口調はゴジュウカラです。また、林の中では「コロロロロンッ」と、よく響く連続音が聞かれます。キツツキの仲間、アカゲラのドラミング(さえずる代わりに木をたたく行動)です。彼らは一年中ウトナイ湖で見られる鳥(留鳥)ですが、これからの季節は、越冬地から渡ってきた夏鳥のさえずりでにぎやかになります。

   林を歩けば「チヨ・チヨ・ビー」と小さな体で鳴く可愛らしいセンダイムシクイや、「キョロン・キョロン・チヨコ・チヨコ」と美しい声のクロツグミ。「ホヒヒー・ホヒヒー・ホー」と鳴くキビタキ。草地や湖岸沿いでは「チョッピンチー・チュルリッ」と早口なアオジ、「ジッ、ジッ、ジャジャジャ、ジョジョジョッ…」と騒がしいコヨシキリ。また頭上から「ズビャーク・ズビャーク・ゴゴゴゴゴー」とけたたましい音が聞こえれば、それはオオジシギでしょう。空高く飛び、急降下する求愛行動の「ディスプレイフライト」をする際に、この声と音を出します。

   さて、このような春の自然をウトナイ湖で体感いただきたいところですが、お家の周りでも楽しむことはできます。木々が多い地域では、センダイムシクイやクロツグミのほか、夜間に「ヒュー、ヒュー」と金属が擦れるようなトラツグミの声が聞かれることもあります。草地や河川敷のある地域では、ノビタキの「ピリリリー、ピリリリー」、エゾセンニュウの「ジョッ・ピン・カケタカッ」といったさえずりを耳にし、オオジシギのディスプレイフライトを見聞きできるかもしれません。

   一年に一度しかない春を、目はもちろん、耳も澄まして、楽しんでみてはいかがでしょうか。

  (日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ・ネイチャーセンター 和歌月里佳レンジャー)

   ※ウトナイ湖サンクチュアリ・ネイチャーセンターは5月6日まで臨時休館しています。状況によって期間を変更する場合があります。ホームページ等でご確認ください。

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