先週の参院本会議で安倍首相が「マグニチュードに見合った対策を―」と繰り返していた。地震ではなく、新型コロナウイルス感染対策に関する答弁。
マグニチュードは、新聞で使う場合「地震の規模を示す」という説明の後に単位のMを付けて表記することが多い。英和辞典を見ると「大きさ、大小、重要性」の意味があり、地震の専用語ではないようだが、新型肺炎絡みで繰り返し使われると違和感があった。
オーバーシュート(爆発的な感染増加)、ロックダウン(都市封鎖)、クラスター(感染集団)、ソーシャル・ディスタンス(社会的距離)など、耳慣れないカタカナ語があふれる時期。ウイルスを制御するには、医療や行政だけでなく子どもから高齢者まで理解できる言葉での、共通の認識が必要だ。新聞は、分かりやすく、字数を節約して情報を増やすためにカタカナ語や専門用語の乱用に注意している。いっそう心したい。
北海道はヤマを越した―。そんな油断を見破ったのか、道内では3日連続で新規の感染者が多かった。恐ろしいウイルスだ。国は緊急事態宣言を行い、給付金の基準の統一や、手続きの簡略化など詰めの作業を進めている。大切なことは、真に困窮している国民や業界が求める給付の、一刻も早い実現だ。手続きが難しくて支援が届かない、などということのないようこちらも目が離せない。対策案の羅列は、対策ではない。(水)