旅行けば

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2020年3月30日

  工具や無数のケーブル類、装置や梱包(こんぽう)してある物資、生活用具が空間四方の壁を埋め尽くしている。円形だったり、四角かったりする窓の向こうには、青い地球が浮かぶ―。

   27日付本紙9面の時事通信配信「ぐるーり世界の旅」は「バーチャルトリップ編」として、グーグルマップのストリートビュー機能を使う”旅”を紹介していて興味深かった。新型コロナウイルス危機下でもかなう仮想的な移動の提案。記事に付く写真2枚は国際宇宙ステーション内部だった。

   ”行ける”か試しにパソコンで「グーグルマップ 国際宇宙ステーション」と検索。迷い道の末に科学の粋が詰まった施設に”到着”した。内部は食事用の卓、身体トレーニング機器、ギター、トイレも見え人間味にあふれる。

   ストリートビューはインターネットで提供されているサービス機能の一端。地図上で任意の場所を指定すると、その位置から全方位カメラで撮影した画像が表示される。宇宙版は、高度400キロの軌道上で生活した飛行士が内部を写し、2017年に公開した。

   そこで任務をした一人、油井亀美也さんはインタビューに〈われわれはお互いの国同士や政治が抱える問題を乗り越えて一緒に仕事をしているわけです〉。近刊「宇宙から帰ってきた日本人」(稲泉連著、文芸春秋)で語っている。地球上で今、ウイルス対処に求められそうな飛行士の実感だ。(谷)

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