「覚醒剤購入を頼まれた」 被告人質問で元妻が証言―「ドン・ファン」殺害・和歌山地裁―

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  • 2024年11月9日

  和歌山県田辺市で2018年5月、「紀州のドン・ファン」と呼ばれた資産家の会社経営野崎幸助さん=当時(77)=を殺害したとして、殺人罪などに問われた元妻須藤早貴被告(28)の裁判員裁判の公判が8日、和歌山地裁(福島恵子裁判長)であり、被告人質問が行われた。

   須藤被告は、同年4月に野崎さんから「覚醒剤を買ってきてくれないか」と頼まれ、「お金くれるならいいですよ」と言ったところ20万円を受け取ったとした。「放置していたら社長から『あれどうなった』と催促されて『薬物 裏掲示板』と検索した。番号が載っていたので電話した」と話した。

  購入して渡した翌日に野崎さんから「使い物にならん。にせもんや。もうお前には頼まん」と言われたと述べ、自らの意思で購入したわけではないと主張した。

  野崎さんと出会った経緯についても説明。初めて会った際に100万円を渡されて「結婚してください」と言われ、冗談と思い「毎月くれるならいいですよ」と応じたという。弁護側から、今後の関係をどうしようと思ったか問われ、「お金をくれる人だからラッキーと思ったし、うまく付き合っていこうと思った」と述べた。

   須藤被告は捜査段階では黙秘し、今年9月の初公判で「私は殺していません」と起訴内容を否認していた。検察側は冒頭陳述で、須藤被告が覚醒剤による完全犯罪で莫大(ばくだい)な財産を得ようとして野崎さんを殺害したと主張。弁護側は、野崎さんが自分で覚醒剤を摂取したか、第三者に摂取させられた可能性があると指摘した。

  公判ではこれまで28人に対する証人尋問が行われた。被告人質問は11、15日にも実施。18日に論告と弁論、須藤被告の最終陳述が行われて結審し、12月12日に判決が言い渡される。

  起訴状によると、須藤被告は18年5月24日、殺意を持って何らかの方法で野崎さんに致死量の覚醒剤を摂取させ、殺害したとされる。

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