3月初めにまとまった雪が降った支笏湖畔ですが、近頃は暖かな日差しが降り注ぐ日も多くなり、一気に明るさが増してきています。野山の草木も芽吹きの準備をしているようです。
春の訪れとともに別れと新たな出会いもやってきます。3月19日に支笏湖小学校の卒業式が行われます。今年は新型コロナウイルスの感染リスクを回避するため、卒業生1人とその家族、参加可能な地域の方々のみで行われます。支笏湖小学校は、児童数7人の小さな学校ですが、運動会や学芸発表会、スケート大会などは、地域の住民もたくさん参加するにぎやかな学校です。みんな家族のように強い絆で結ばれています。在校生が参加できないのは残念ですが、みんなで前を向いて進むしかありません。在校生は楽しかったたくさんの思い出を胸にしまい、心の中で大きな声で送り出していることでしょう。
また、ここビジターセンターでも中心的に仕事をしてきた職員が2月末で東京に異動となりました。
職場の仲間たちからも絶大な信頼を得ていた彼は、地域の人たちからも親しく声を掛けられる存在でした。2月も終わりに近づいた頃、ここのスタッフ全員で写真を撮りました。ビジターセンターに展示しているクマのはく製も一緒です。みんな笑顔で写っていますが、一人だけ少し気恥ずかしそうな顔で写っているのが印象的です。赴任の日、彼は照れ臭そうに最後のあいさつをし、苫小牧からフェリーに乗り、新天地に向かいました。スタッフ全員で撮った写真を大事にリュックにしまい向かいました。長い船旅で彼は何を思ったのだろうか。後日、その写真を見て彼は何を思い浮かべるのだろうか。みんなが応援しています。ぜひ、これからの彼の活躍に期待したいと思っています。
小学校では4月になると、3人の新入生が入ってきます。これまで以上に子どもたちの元気でにぎやかな声が学校内に響き渡ることでしょう。
そろそろ園地の片隅にフクジュソウを見ることができます。花言葉は「幸せを招く」とあります。
支笏湖小学校の子どもたち、東京へ転勤となった彼、そしてここ支笏湖に関わって暮らす全ての人々に、さらなる幸せが訪れることを心から願っています。支笏湖畔にもそこまで春がやってきています。
(自然公園財団支笏湖支部所長、木林正彦)