春の投げ釣りカレイシーズンが近い。苫小牧から噴火湾にかけては3月からぽつぽつと釣果が聞かれるようになり、サクラが咲く頃には道南全体が最盛期を迎える。北海道内は新型コロナウイルスが猛威を振るっており、先んじてシーズン初物を狙う太公望たちの動きもやや控えめ。今週の「釣り倶楽部」はカレイシーズン本格化に備えてタックルを紹介する。投げ釣り担当の倶楽部員が愛用タックルでビギナー向けに「準備編」をまとめた。
ロッド(さお)
遠くの大物を狙いたいと、一度は遠投用の憧れの並み継ぎざおに挑んだ投げ担当部員だが、非力さを悟って近年は手軽な振り出しざおに回帰した。長さは4・05メートルが振り切りやすく、使いやすい。品数とタイプは豊富。投げ部員もこの長さで重り負荷30号のさおを中心に使う。
遠投指向の釣り人は33号負荷の高剛性ロッドをシャープに振り切る。彼らが狙うポイントは苫小牧港・西港の水路の中央、水深14~12メートルの深み。超遠投仕様のロッドを、鋭い風切り音を鳴らしながら振り抜く強者らが集まるから、初心者には敷居は高い。
魚は動くからポイントは時期や時間、日によって変わる。季節が進めば港内に広く分散する。情報を小まめにチェックするのが大切。好ポイントは東西両港に多数あるし、室蘭港はより高い実績がある。
投げ部員はフッ素コーティングを施してさおを保管する。ロッドケース内には湿気を除くための乾燥剤も入れる。春の釣りに備えてロッドを取り出し、ガイドとリールシートの状態を再確認。置きざおに必要な三脚も忘れたくない。
リール
座布団のような大物釣りにはドラグ機能が付いた大型スピニングリールが安心だが、ドラグのない投げ専用機もいい。ナイロン3号、またはPE0・8~1号のラインを使用する。スプールに巻く目安は200メートル。ドラグ機能がないリールの場合、あまりに強引なやりとりはライン切れを招く。しなやかに曲がるさおの弾性を生かして寄せたい。
PEラインは飛距離優先時に有効だが、風の影響を受けやすいのと根ズレに弱いのが弱点。海面に細かなごみが浮いている時はこれがラインに付きやすく、除くのに手間がかかる上、けば立つと強度に影響が出る。TPOに応じた選択が必要。
いずれもラインには力糸を結ぶ。投げ部員は3―12号、2―12号の力糸を使っている。
重り
重りは25~30号がポピュラー。単なる投げ愛好者の部員は27号をもっぱら使う。横風が強い時や、港内で潮の流れが速い所は30号を選択し、風も波も静穏な時は25号を使う。30号負荷のロッドで100メートルは飛ぶし、魚信を捉えやすい。
工夫といえば、重りに夜光材をペイントしている。白のラッカーを下地にし、スプレータイプの夜光塗料を吹き付け、仕上げは透明のアクリル材で表面処理。各工程は十分に乾かす。出来栄えが美しくないのは気にしない。
水中で怪しく光る重りが魚の興味を引くと信じての作業は楽しい。