守るべきもの

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  • 2020年3月2日

  ディズニー映画、アナと雪の女王のキャラクター「オラフ」が子どもたちに人気という。鼻にニンジンを付けた陽気な性格の雪だるま。ヒロインの1人、エルサの魔法によって作り出された設定だが、保育園で働く家族は「ニンジンが苦手な子どもも『オラフのニンジンだよ』と言えば喜んで食べる」と影響力の大きさに驚いていた。それで苦手を克服できる子どももすごい。

   負のパワーを発揮し続ける新型コロナウイルスは当初、比較的感染力が弱いとされていたが、いまだ終息のめどが立たないばかりか世界保健機関が世界的流行を認定した。気温や湿度が上昇すると感染力は弱まるとも言われるが、まだ分からないことが多い。最も感染が深刻な道内では国の一斉休校要請の対象外となった保育園で、保育士や園児の患者も出始めている。新型肺炎は拡大か終息か「瀬戸際の1、2週間」で登園自粛を呼び掛ける園も少なくない。

   街全体が自粛ムードに覆われても、家庭や保育園からまで、子どもたちの歓声が失われる事態は回避しなければならない。安倍晋三首相は記者会見で保護者支援にも取り組むと約束したが、今のままでは不安が募る。自宅待機中の子どもたちの居場所づくり、閉じこもりリスク、失われた時間のフォロー、心のケアなど課題は山積している。今守るべきもの、最も守られるべきものは何かを真剣に考えたい。(輝)

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