時間

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  • 2020年1月4日

  太陽が水平線を突き破って昇っていく様子を何度か撮影したことがある。燃えたぎった光の塊が、海面から平たい皿のように頭を出して徐々に丸くなり、やがて、ふわっと空に浮かぶ。

   圧巻は、太陽が海を離れる瞬間だ。こけしの頭のような太陽と海とをつなぐ太い首が細くなり頭が離れて浮かび上がる。地球は誕生から46億年、こうして昇った太陽の光を受けて命を育んできた。

   日の出は地球の自転によって見られる現象。その自転の速度は遅くなっているそうだ。青春出版社「理系の大疑問100」によると現在は約24時間で1回自転し、それが1日。しかし地球誕生当時の1日は5~6時間で、生き物が誕生して水中から地上に上がり始めた約4億年前に、19~22時間になった。このままでいくと、1億8000万年後、1日は25時間まで長くなると考えられるそうだ。

   ごみ投棄や温暖化ガスの排出、地下深くからの原油の採掘など、時間を確実に刻んでくれている地球に対する人間の仕打ちは、時にむごい。巨大地震や火山噴火の増加、豪雨などの異常気象は、地球から人間への抗議とも思える。もっと地球を大切にしなければ。

   新しい一年の時間が動き始めて4日目。孫たちのいた騒乱が終わって静かな時間が戻った。家族内で長く勝ち続けていた卓上ゲームで、よそ見をしながらの5歳女児にこてんぱんに負けたことを思い出して過ごす、静かな時間。(水)

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