シンポとオオジシギ個体調査 ───「2019年の2大ニュース」───

  • レンジャー通信, 特集
  • 2019年12月6日
勇払原野を歩く「オオジシギ調べ隊」
勇払原野を歩く「オオジシギ調べ隊」
勇払原野を歩く「オオジシギ調べ隊」
勇払原野を歩く「オオジシギ調べ隊」

  水鳥でにぎわう季節が過ぎたウトナイ湖では、繁殖地のロシアから越冬のため北海道に渡ってきたオオワシが11月14日に確認され、冬の訪れを感じます。

   さて、2019年も残すところ1カ月。ここで、私が独自に選んだ今年ならではの2大ニュースをご紹介します。

   (1)シンポジウム「柳生博と学ぶ勇払原野の魅力」を開催

   日本野鳥の会(ウトナイ湖サンクチュアリ)は「勇払原野をラムサール条約に」と掲げ、工業都市である苫小牧に残された湿地環境の保全活動を進めています。このシンポジウムは、多くの方にこの勇払原野を知っていただくために、6月30日に開催したものです。

   午前中は、普段は入ることができない弁天沼周辺を当会名誉会長の柳生博と巡るツアー。工場地帯に希少な自然が残されていることを、参加者に体感いただきました。午後は、苫小牧市民会館で「確かな未来は懐かしい風景の中にある」と題したトークと、4人のパネリストによるディスカッション。勇払原野の魅力はもちろん、安平川下流域に北海道が計画している河道内調整地(遊水地)の概要、また、ラムサール条約湿地である宮島沼での保全活動など、パネリストからのお話を通じて、遊水地の賢明な利用について約140人の参加者とともに考えました。

   (2)「オオジシギ調べ隊」で個体数を調査

   日本野鳥の会では16年より、主に北海道で繁殖する準絶滅危惧種「オオジシギ」の保護調査プロジェクトを立ち上げ活動しています。

   今年も5月に、勇払原野で個体数調査を実施。この調査は当会のレンジャーや職員だけではなく、地元の親子に呼び掛けて結成した「オオジシギ調べ隊」の皆さんにも参加いただきました。今年は全部で63羽を確認。17年の調査で数えた77羽よりも少ない結果となりました。

   野鳥が大好きな子どもたちは、早朝5時からの調査にもかかわらず、オオジシギをはじめさまざまな野鳥を熱心に観察していました。また、終了後に「今後もこのような活動に協力したい」と話す子もいました。

   以上が私の選ぶ今年の2大ニュースです。なお、冬季もウトナイ湖サンクチュアリ・ネイチャーセンターは土・日曜日、祝日(年末年始を除く)に開館しています。この先新たなニュースがあるかもしれません。皆さまのご来館をお待ちしております。

  (日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ・和歌月里佳レンジャー)

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