「過疎地域で甚大被害」 厚真で胆振東部地震振り返るシンポジウム

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  • 2019年10月29日
胆振東部地震を踏まえ、今後の減災・復興について考えたシンポジウム

  昨年9月に発生した胆振東部地震を振り返り、今後の減災・復興を考えるシンポジウムが27日、厚真町総合福祉センターで開かれた。厚真町の宮坂尚市朗町長が基調講演し、震災被害の状況などを報告したほか、専門家らが土砂崩れや液状化などについても解説し、約80人の参加者が理解を深めていた。

   町と北大広域複合災害研究センターが主催し、道開発局などが後援した。

   宮坂町長は災害関連死を含め町内で37人が犠牲になったことを挙げ、「厚真町の規模で(総人口の)0・8%に相当し、100万人都市に置き換えると8000人が亡くなったことになる。数字上で小規模に見られるが、過疎地域としては甚大な被害だ」と説明。また被害額は823億円に上り、復旧事業費の予算ですでに200億円以上(9月末時点)を計上していることを踏まえ、「これまで町の施設の改修費は年間10億円ほど。現在20年分の予算が必要になっている」と述べた。

   今後は支援の受け入れ態勢強化や町民のメンタルケアなどを課題に挙げ、「単に元に戻すだけではなく、災害に強いまちづくり、さらなる発展を遂げていきたい」と話した。

   また専門家の立場から、北大大学院農学研究員の山田孝教授は胆振東部地震で発生した土砂崩れについて、全国で適用されている斜面勾配(30度以上)よりも緩い勾配で起きていると解説。家屋などの保全対象区域の見直しや緊急の場合ただちに2階に避難すること、ハード面対策―などを提言した。北大大学院工学研究院の石川達也教授は、山腹崩壊した土の性質について火山灰が風化して粘土化している状況を取り上げ、火山灰の除去などを今後の対策として呼び掛けた。

   午後からは被災現場の見学会が行われ、東和地区の斜面崩壊の状況や、日高幌内川の河道対策工事の現場を見て回った。

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