増税

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  • 2019年10月14日

  秋はとかくキャッチフレーズが多い。食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋。爽やかな季節に、楽しみは多く、読者も思い思いに、秋を満喫していると思う。個人的には柄ではないが、文化の秋に親しもうと、久々に映画館に足を運んだ。結果的にはバケツのような容器に入った、ポップコーンを頬張る食欲の秋だったが。

   キャラメル味と塩味を交互に口に運びながら、ふと思い返した。このポップコーンの消費税率は何パーセントだったろうか、と。売店で購入し、館内で食べるので、イートインかテイクアウトか、意外と判別は難しい。レシートを見ると、8%だったので、テイクアウト扱いと知れた。

   消費税率の10%引き上げに伴い、スタートした軽減税率。キャッシュレス化の推進、ポイント還元と相まって、とかく分かりづらい。以前も当コラムで書いたが、店舗によって対応もまちまちなことが、複雑さに拍車を掛ける。消費者の実質的な負担税率は、これら要素の組み合わせ方で変わるとあり、把握はなかなか容易ではない。

   取材先でも制度に対する戸惑いの声を多く聞くが、意外と増税そのものに対する不満を聞く機会は少ない。国は不満をそらすため複雑にしたわけではないだろうが、低所得者の痛みが本来の目的通り和らいでいるか、もっとシンプルな視点が必要ではないだろうか。増税の秋に思う。(金)

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