苫小牧東病院開院30周年記念「劇団たんぽぽ」みとりテーマに劇 命のつながり考える

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  • 2019年8月31日

  在宅医療やみとりをテーマとした静岡県の劇団たんぽぽによる舞台劇「ゆずり葉の季節(はる)」の公演が29日、苫小牧市文化交流センターで開かれた。市内明野新町の社会医療法人平成醫塾(いじゅく)苫小牧東病院の開院30周年を記念した取り組みで、約300人が来場。観客たちは舞台を通し、死との向き合い方や家族の絆、命のつながりについて思いを巡らせた。

   同劇団と苫小牧東病院の共催。末期がんで余命宣告された”とし子”の「最期は自宅で過ごしたい」という願いをかなえようと、家族が奮闘する姿を描いたストーリー。作品ではとし子の娘や孫、息子とその妻、弟といった、登場人物一人ひとりの感情の変化や葛藤も丁寧に表現。病状の進行に伴っていら立ちを募らせたとし子が家族に感情をぶつけるシーンや、一日でも長生きしてほしいと願うとし子の弟が入院を強行させようとするシーンもあり、観客たちは固唾(かたず)をのんで行く末を見守った。

   物語には訪問診療を手掛ける医師や看護師、訪問介護のスタッフ、ケアマネジャーなども登場。多職種で連携してとし子や家族を支援する様子も描かれ、観客席にいた医療関係者や介護の現場で働く人からは「すごくリアルだね」という声も上がっていた。

   このほか、勤医協苫小牧病院在宅診療部で部長を務める伊賀勝康医師と、苫小牧地域訪問看護ステーション所長の大澤佐登美看護師が、みとりをテーマに講話。

   伊賀医師は、最期は自宅で過ごしたいと願っている人が多い一方で、それが実現できずにいる現状を説明し、「最期まで自分らしく生きることを支えるような地域の仕組みづくりが急がれている」と強調した。

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