道内唯一の鋼管メーカーである北海道丸一鋼管(本社苫小牧市沼ノ端)は2021年度の完成を目指して第1工場を拡張する。本社敷地を活用し、20年春に着工する。合わせて最新鋭のカラー塗装設備を導入。鉛を含まない安全な塗料を使用した鋼管を製造することで、本州への出荷を拡大したい考えだ。
同社は溶接鋼管の製造販売メーカー大手の丸一鋼管(大阪市)のグループ会社として1970年に創業した。北広島市に札幌工場を有し、80年に苫小牧工場を新設。98年に札幌工場と本社の機能を苫小牧港に近い苫小牧工場に集約した。従業員は40人。
15万2000平方メートルの広大な敷地内に第1工場(延べ床面積7272平方メートル)と第2工場(同1万3223平方メートル)があり、農業用ビニールハウスの骨組みや建築現場の足場、自動車のシートフレームなどに使われる鋼管を年間5万トン生産している。敷地内に埠頭(ふとう)を構え、本州から船で原材料を直接運んでいる。製品出荷先の大半は道内だが、東北にも販路を広げており、近年の売上は年間50億円前後で推移しているという。
同社は鋼管に色を塗るカラー塗装設備を2005年に導入。防錆効果のある微量の鉛入り塗料にしか対応できなかったが、環境や人体への影響を考慮するとともに、鉛の使用を削減する動きが世界的に加速する中で鉛を除去した新塗料に対応したカラー塗装設備の導入に合わせ、第1工場を拡張することを決めた。
計画では、第1工場に接続する形で鉄骨造り床面積約3700平方メートルの拡張部分を建設。カラー塗装設備1台を配置し、赤とグレーの2色に対応させる。工場内は製造した鋼管の保管場所としても活用する。
岩橋裕工場長は「より安全な製品を製造できる体制を築き、出荷を増やしたい」としており、大手自動車メーカーが生産体制を強化している東北向けに、フェリー輸送を活用した自動車のシートフレームの供給を増やしていく考えだ。