直列配石遺構が出土 冬島遺跡 様似 道内で前例なし 続縄文文化期の地層

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  • 2019年8月29日
平行に石が並ぶ直列配石遺構が出土した冬島遺跡の発掘現場(様似町教育委員会提供)
平行に石が並ぶ直列配石遺構が出土した冬島遺跡の発掘現場(様似町教育委員会提供)

  様似町教育委員会が発掘調査している冬島遺跡で、平行に石を並べ、間に砂を敷き詰めた直列配石の遺構が出土した。約2200年前ころの続縄文文化期の地層で、同文化期の遺跡では道内で前例がないという。

   冬島遺跡は市街地から東に6キロほど離れた標高約38メートルの海岸段丘に位置し、広さは約3万平方メートル。ほぼ平らで太平洋が一望できる。

   町教委は町内遺跡の詳細分布調査として、2014年度から小規模発掘を始め、16年度から冬島遺跡の本格調査を開始。今年度は発掘作業を終えた6月末までに、幅3メートル、長さ12・7メートルを発掘している。

   縄文時代に続く、北海道が中心の続縄文文化期は、本州方面の弥生時代から古墳時代に当たる紀元前3世紀から紀元後7世紀ごろまでの時代。冬島遺跡は縄文時代晩期から続縄文文化期の前期に集中している。

   調査している町教委の高橋美鈴学芸員によると、これまでに続縄文の特徴を持つ土器片や硬いメノウ石で作った先端が細いきり状の道具として使用した石器片などのほか、石おの、クジラの骨ベら、サメの歯やイルカの骨、魚の骨などが入った穴状の遺構などが出土。土器はまとまって廃棄されていた。

   通路状の配石は発掘終了間際の6月後半に出土し、細長い石の配石の幅は約30センチで、長さは4メートルほど。30センチから10センチほどの大小14個の石が規則正しく南北方向に並び、近くには土器が七つほど集中して置かれていた。

   この通路状の配石の用途は不明だが、高橋学芸員は「発掘していない部分にも続いて並んでいる可能性がある」と言い、専門家も直列配石遺構の保存を勧めている。

   冬島遺跡に注目する専門家は多く、道内の遺跡やアイヌ文化に詳しい北方島文化研究会の会員も過去に見学。同遺跡の魅力として「遺物の量が豊富。集落にあるものがそろっている可能性が高く、資料的価値は高い」と様似町での講演会で報告している。

   高橋学芸員は「来年度は冬島遺跡がどの程度の広さに分布しているのか調査したい」と話している。

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