苫小牧署管内(東胆振1市4町)では今年に入り、架空請求詐欺の被害額が急増している。「契約不履行による訴状が提出された」といった内容の文書を封筒で送り付けるもので26日現在、3件、総額約550万円(前年同期比約412万円増)に上っている。相談も20件を超えており、同署は「不審な文書などが届いたらすぐに警察に連絡して」と呼び掛けている。
架空請求はメールやはがきなどで料金の支払いを求め、実行しない場合は裁判になると脅して電話をかけさせる。10年以上も前から使われている手口だが被害は後を絶たない。
「貴殿に訴状が提出された」「裁判所の執行官が預金や不動産を差し押さえる」といった文言を並べ、不安をあおる。裁判所や法務省などの公的機関をかたったものが多く、「訴訟通知センター」など実在しない機関名も書かれている。連絡先に電話すると、「訴訟取り下げ費用」や「解約金」「弁済供託金」などともっともらしい口実で、金を要求してくる。
今年、管内では「民事訴訟最終通達書」という文書を入れた封筒を送り付けるパターンが目立つ。
1月以降、同署が認知した管内での架空請求詐欺被害は前年同期比2件増の3件。被害に遭ったのはいずれも男性で40代、50代、60代が1人ずつだった。
白老町の50代男性は有料動画サイトの未払い料金名目で2月から3月にかけて、計8回の請求で約350万円をだまし取られた。
過去5年間の被害件数は14年4件、15年3件、16年2件、17年6件、18年2件と推移。被害額は14年約666万円、15年約752万円、16年約299万円、17年953万円、18年138万円となっており、今年はすでに昨年1年間の金額を上回っている。
今年、同署に寄せられた架空請求に関する相談は26日現在で22件。7月末にも「民事訴訟最終通達書」入りの封筒が自宅に届いて不安になったという市内の高齢女性が交番に駆け込むケースもあった。実害はなかったが、一歩間違えれば手紙の内容を信じ込み、現金を支払ってしまっていた可能性もあったという。
道警は被害予防策として(1)金銭トラブルの話は家族や警察に相談する(2)新聞などを読んで詐欺の手口を知る(3)留守番電話を活用する―などを挙げる。
同署生活安全課の武部宏樹課長は「不安に思う事例に遭遇したら、まずは警察に相談してほしい」と話す。
警察への相談は専用ダイヤル#9110、または同署 電話0144(35)0110。