白老町の東町から日の出町にかけての海岸に、カニの甲羅や脚などが大量に打ち上げられている。約1キロ区間にわたって散乱しており、カラスやカモメが獲物を狙うように上空を飛び交う光景も見られる。
甲羅や脚の大半は空洞化しており、甲羅は縦横6センチ前後、脚は広げても10センチほどと小ぶりだ。
付近をよく散策する苫小牧市有珠の沢町の内田仁さん(76)は、1週間ほど前から海岸でカニを目にするようになったといい「24日ごろには(海岸の)一部を埋め尽くすほどになった。日に日に増えている印象でこんなにたくさん打ち上げられたら、漁に支障が出ないのだろうか」と心配した。
苫小牧市美術博物館によると、甲羅などは毛ガニが脱皮した殻とみられ、江崎逸郎学芸員は「昨年1月にも同じ場所で見つかっているがこれほどの量ではなかった」と指摘。白老町農林水産課も「聞いたことがない(規模)」と言う。
毛ガニの雄は2~3月にかけて浅瀬で脱皮する時期に当たり、北海道立総合研究機構栽培水産試験場調査研究部は、昨年5月の資源調査で甲長8センチ未満が前年の数十倍確認されたと説明。そのカニが一斉に脱皮し、大量に海岸に打ち上がったと推察されるが「これだけの量は見たことがない」と研究者も驚いている。