(8)経済の動きを取り込む 「安全・安心」大きな目標 苫小牧港開発 関根(せきね) 久修(ひさのぶ)社長

  • 企業トップに聞く 2025, 特集
  • 2025年1月27日

  ―2024年を振り返って。

   「日本経済は緩やかな回復局面で、北海道経済はインバウンド(訪日客)需要もあって日本全体の成長率よりも若干高めの中、安定して仕事ができた1年だった」

   「フェリーターミナルは、元日の能登半島地震に始まり、7月にはフェリーの座礁事故で運休する船もあったが、お客さまはコロナ前の19年度水準まで回復している。マイカーの北海道観光が好まれて乗用車は増えた。貨物は巣ごもり需要が一服し、物価高で荷物の値段も上がって動きが停滞したが、全体でみると堅調に推移した」

   ―25年の展望は。

   「苫小牧周辺で半導体関連や脱炭素に向けたエネルギー、ソフトバンクのデータセンターなど、さまざまな動きが具体化してくる。(半導体など)関連産業を含めて進出する期待もあるし、雇用が増えて居住需要も出てくる。その変化、成長を捉えて事業にどう取り込んでいくか、足がかりをつくっていく重要な1年となる」

   「(今年度は)3カ年(22~24年度)の中期経営計画の最終年度だが、この3年間で取り組んできたこと、十分でなかったことや課題を洗い出した上、経済の動きをしっかり取り込んでいけるよう、25年から3年の計画を検討したい。港開発が苫小牧のインフラ企業として重要な役割を果たせる会社でいたいし、働く人にとって魅力ある職場にしたい」

   ―不動産事業の展望は。

   「ウトナイ地区の住宅用地分譲は、23年から第3期の最終分譲を行ったが、全97区画のほとんどは完売した。建築費の高騰など北海道全体で伸び悩んでいるが、比較的堅調に推移している。苫小牧の物流、ものづくりの拠点性を背景にした根強い需要の中で仕事をしている」

   「ウトナイ地区の未利用地は市場環境を考慮し、どのような形で開発するか検討したい。明野新町の未利用地も同様で、苫小牧のまちづくりに少しでも貢献したい。新たな用地の取得、開発も視野に入れている」

   ―西港フェリーターミナルが1975年4月の使用開始から今年で50周年。21日には商船三井さんふらわあ(東京)が苫小牧―大洗航路に新造LNG(液化天然ガス)燃料フェリー「さんふらわあ かむい」を就航した。

   「ターミナル供用開始50周年、国内2航路目のLNGフェリーに合わせ、バリアフリー化した乗船設備(通路とフェリーを結ぶ搭乗橋のボーディングブリッジ)を始めた。計画的に設備投資し、安全・安心なフェリーターミナルにすることが大きな目標」

   「LNGフェリーは港の脱炭素化に向けてシンボリックな出来事。LNGはタンクローリーから船に供給されるが、円滑に行われるよう側面的に協力していくことがわれわれの役割。船のエネルギーを切り替えた時、新造船を導入した時にさまざまなニーズが出てくると思うが、各船社と連携を密にしながら受け入れの対応をしていきたい」

  メモ 苫小牧西港フェリーターミナルを管理・運営し、本道の海の玄関口、物流拠点の苫小牧港を下支え。住宅、工業用地の分譲も手掛ける。

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