• 夕刊時評, 苫1面
  • 2025年2月1日

埼玉県八潮市で道路が陥没しトラックが転落した事故。現場の映像を最初に見た時、AIが人間に取って代わるだの、月で暮らす時代が来るだのと言っているこの時代に、現実に起きたことなのかと目を疑った。突然、道路に穴が空いて落っこちる。そんな危険性を意識して生活している人がどれだけいるだろう。

原因は、腐食した下水道管が破損し、周囲の土砂が流れ込んで空洞ができたためとみられる。いまさらながら、どれほどの下水道管、水道管、ガス管が地下に張り巡らされているのだろう―と考えてみたが、管の太さも長さも深さも、イメージすらできなかった。

苫小牧市下水道課によると、市内の下水道管は大半が直径20~30センチで深さ2メートル前後の地中に埋められている。埼玉の直径4メートル超の下水道管とは桁違いに小さい口径で、事故後の市の緊急点検でも異常は見つかっていない。

ただ総延長は約1520キロ。直線距離だと苫小牧から長崎くらいまでに相当する。現在、50年の耐用年数を超える下水道管は2割近くで調査、対策を続けているが、老朽化はこれから進む一方だ。巨大な穴がどんどん広がっていく映像は、日々の暮らしを当たり前と思っている自らへの警告のように見えた。(吉)

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