札幌・大通公園を歩くと、子どもたちが噴水ではしゃいでいる。毎年、この季節に思い出す歌がある。日本の伝説的なロックバンド、はっぴいえんどの名盤「風街ろまん」に収められた一曲。松本隆さんが詞を書き、細野晴臣さんが作曲した「夏なんです」。こんな詞だ。〈空模様の縫い目を辿(たど)って 石畳を駆け抜けると 夏は通り雨と一緒に 連れ立って行ってしまうのです…〉。昨年同様に猛暑が予想される夏がやって来た。
3年前の夏を思い浮かべている。あの夏も熱帯夜が続いて格別に暑かった。暑さ対策で、東京五輪のマラソン、競歩競技が異例の札幌開催となった年だ。コロナ禍で原則無観客が打ち出されたものの、沿道は全国各地から詰め掛けた五輪ファンでぎっしり。世界のトップアスリートたちのレースに圧倒されつつ、沿道取材に汗を流したことを思い出す。
そして夏の五輪が26日に開幕する。今度の舞台は100年ぶりのパリ。セーヌ川を船でパレードする開会式。ベルサイユ宮殿での馬術。エッフェル塔下でのビーチバレー。マラソンはオペラ座前を走るという。名所が数多く舞台になる。さらに新種目として「ブレイキン」も加わり、若者も楽しめる五輪へ進化する。時差の関係で、また眠れない夜が続く。(広)