「日本ボクシング界の歴史を変える」と意気込んで臨んだ一戦。佐々木は10カウントの途中で陣営が棄権を申し出る形で敗れた。3度のダウンを奪われる完敗だった。
世界的に選手層が厚く、これまで日本選手の手の届かなかったウエルター級世界王座。試合前、「不安、怖さもなく、楽しみしかない。負けるはずがない」と自信を示していたが、ノーマンとは大きな力の差があった。
1回に2度のダウンを奪われ、苦しい展開に。武器の左フックで応戦したが、5回に左フックをもらい、リング中央に倒された。緊急搬送され、会見は中止となった。
高校入学後に柔道をやめ、ボクシングに専念。常に崖っぷちという思いを拳に込めた。「勉強は本当に無理。これしかない。勝たないとそこら辺に寝ちゃう人になる」
世間の流行に疎くなるほどボクシングに集中する日々。練習中に相手をイメージする力は時に常識を追い越した。「たまにカマキリをイメージする。下から鎌が出てくる。いろいろな動きができることは大切」と話したことがある。23歳の若武者はこの敗戦をどう糧に変えるだろうか。