給食「楽しく食べる」を大切に 残す理由を探る、強制はNG

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  • 2024年6月5日
山口健太さん(左)。見学した小学校で児童と一緒に給食を食べた時
山口健太さん(左)。見学した小学校で児童と一緒に給食を食べた時

  学校給食は栄養バランスが良く、地元や旬の食材も味わえる。しかし、苦手な食べ物が多かったり、限られた時間で食べ終えるのが難しかったりして苦痛に感じる子どももいる。給食との向き合い方について、「食育研修講師」の山口健太さんに聞いた。

   山口さんは、運営するサイト「きゅうけん」で給食指導に関する情報を配信し、教員らを対象とした講習会も開いている。

   「一番大切なのは、楽しく食べられるようになること。楽しいと苦手なものでも自ら挑戦してみようと思えますが、苦痛になってしまうと食欲すら湧かなくなります。最悪の場合、学校へ行くことに嫌気が差すこともあります」

   重要なのは、食べられない理由を知ることだ。例えば自宅で、親が「きょうの給食はどうだった?」と子どもに聞き、献立表で食べられた物に丸印を付ける。その上で、食べられなかったメニューについて▽食材が嫌い▽歯触り、食感が苦手▽見た目が嫌―といった理由を探る。給食では普段、家庭で食べないメニューが登場することもあるので、食わず嫌いの可能性もある。

   また、成長の程度が異なる学年の子が同じ量を同じ時間内に食べ終えるのは難しい。かむ力が弱い、かみ合わせが悪いといった問題を抱えている場合もある。周囲の子の視線が気になり、普段家で食べられる物でも食べられないケースも少なくない。

   「一口だけでも食べなさいと強制したり、残しては駄目と叱ったりしては逆効果。すべてのメニューを毎回、完食することを目標に頑張る必要はありません。保護者も先生もまず、子どもの話に耳を傾けてあげましょう」

   食べられない理由が分かれば、配膳の際に量を少なめに盛る、他の子の視線が届かないような場所で食べさせる、といった対策を取ることができる。「苦手な物を克服するのには時間がかかります。でも、食べられる物が増えてくると、給食の楽しみが増しますよ」と山口さんはアドバイスする。

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