10年の月日をかけて、ようやく山が動きだす。苫小牧駅南口の旧商業施設「苫小牧駅前プラザエガオ」の一部土地を所有する大東開発と苫小牧市が再開発に向け協力することで、きょう合意する。
市が公表している「苫小牧駅周辺ビジョンに基づく基本構想」案によると、駅前再整備の想定区域は駅南口からエガオビルと駐車場、旧バスターミナルにかけての周辺約3・3ヘクタール。子育て支援施設や商業スペースを備えた建物、公園、ホテルやサテライトキャンパスなどを配置する。エガオビルの解体は2026年度以降を予定し、解体費用は今年2月時点で約15億円と見込む。10年前の記事を見ると、「解体には5億円前後かかるとされる」とあるから約3倍に膨らんでしまった計算だ。それでも、駅前再生のための一歩を踏み出したことを前向きに受け止めたい。
同ビジョンはさらに、駅前から26年開館予定の市民文化ホールまでを歩行者道路とし、中心市街地を魅力的な空間にすると構想している。若者も子どもも高齢者も集う施設ができ、緑に囲まれた道をのんびり歩く―。長い間待った分だけ、欲張りな夢を見ても許されるだろう。あとは自分が元気で歩けるうちに構想が実現することを願うばかりだ。(吉)