ガラケー

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  • 2024年6月1日
ガラケー

  いまだに携帯電話はガラケーだ。中学生になった年長の孫は食事も勉強も開始時間が遅くなって、いつも母親に叱られている。スマートフォンを放さないからだ。母親に同情していたはずのわが配偶者も、スマホの軍門に降って久しい。

   おばあちゃんのスマホには北海道から届いたタラバガニの脚を頭上に掲げて喜ぶ孫たちの写真や、先日の運動会の学級対抗リレーで、帽子を飛ばし、1着のまま第3コーナーに突っ込む孫の勇姿の動画が届く。おじいちゃんのガラケーには何も届かない。「勝ったよ」の一言の電話もない。別に寂しくなんかない。何度でも「見せて」と言えばいいだけだ。写真を大きくする指の使い方ぐらいは知っている。機械ごときに振り回され、人として忘れてはならぬ行動の順序、礼儀や誇りは守れるのかと言いたいだけだ。

   先日の全国紙によると2023年度の国内の携帯電話出荷台数が前年度を16・4%下回り2668万台になったとか。3千万台を割ったのは00年度の統計開始以来初めてだ。うちスマホは2547万台、ガラケーは121万台。スマホの減少は高額化、機能の成熟、買い換え期間の長期化が要因との分析だ。多いと見るか少ないと見るか。わがガラケーの時代の再来か。バッテリー残量は?。(水)

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