―2023年を振り返って。
「物流業としては厳しさが目立つ年だった。さまざまな要因があるが、新型コロナ禍から回復していた22年の荷動きが、昨年は反動減になったことが大きい。急激な円安や物価高もあり、苫小牧港全体で自動車や石炭など主要品目の貨物量が軒並み減った。当社としても、物価高やエネルギーコスト高をすぐに料金単価に反映できず、課題が残る一年になった」
―22年から始まったサツマイモ選果施設の現状は。
「23年はサツマイモを前年比4倍となる約400トン取り扱った。シンガポールや香港向けの海外輸出も伸びており、今後の需要拡大が見込めそうだ。今後も22年11月に策定した長期ビジョンや中期経営計画に基づき、食品輸出の拡大を進めていく」
―時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」については。
「2024年問題は4月に一つ目の山を越えても、その先に高い峰が続いているようなイメージ。働き手は今後も少なくなるため、長い目で見た対応が必要になる。
三つの対策を考えている。一つ目が「商慣習」の見直し。入出荷時間までドライバーが待たされる「荷待ち」時間の削減など、荷主側と協調しながら行う。二つ目が拠点を設けての中継輸送。労働時間の規制により、広大な道内の主要都市を一日で往復することは難しくなる。準備の一環で十勝管内芽室町に中継拠点をつくり、輸送する実験を始めている。三つ目はモーダルシフト。使い勝手の良さに依存してきたトラック輸送の一部を、海運や鉄道に移していく」
―脱炭素化への取り組みは。
「当社は二酸化炭素を25年までに、13年度比10%削減する目標を掲げている。電力利用の多い飼料サイロ近くの用地に今後、太陽光パネルを設置し、発電した電力を活用する。本社でも電気自動車を社用車に導入するなど、地道に削減に取り組んでいく」
―中長期的な課題は。
「物流業もデジタルやAI(人工知能)、ロボットの活用が避けては通れない。特に地方の物流は立ち遅れている現状があり、本腰を入れて取り組まなければならない。例えば港湾では定型荷物の荷さばきは自動化できるが、不定形荷物は現時点では難しい。AIの力を活用しながら自動で行えるようになれば、抜本的な効率化につながる」
―今年の展望は。
「長期ビジョンや中期経営計画を経て、23年に咲かせた『芽』を伸ばしていく。可能であれば『果実』を取る一年にしたい。2024年問題や脱炭素に向けた課題を糧にして、次の展開につなげていくことが大切になる」
メモ
1960年に設立。港運事業や飼料サイロ事業など4事業部を持つ。石油製品を保管するタンクは道内最多の70基。従業員数は昨年4月現在319人。