今週続開中の第78回国民スポーツ大会冬季大会スケート・アイスホッケーは終盤戦で、都道府県選手団の1700人超が苫小牧に集い、競技に力を注ぐ。前身の国民体育大会(国体)時代から数えて当地6回目の大イベントがたけなわだ。
第2次大戦後に始まった国体スケート・アイスホッケー大会は1950年に初めて本州を離れ、苫小牧で開かれた。続いて当地と札幌の2会場で74年に行われ、80年には単独開催となった。今世紀は2006年にも開かれて、18年ぶりの今回と続いた。国体の元祖は戦前にあった明治神宮国民体育大会。苫小牧では太平洋戦争開戦の前の冬、41年2月にスケート大会が当時の王子リンクで催された。
苫小牧―。アイヌ語でトーマコマナイと呼ばれた地名の由来は沼や川がある地勢を指す。戦後から苫小牧東高アイスホッケー部監督を長年務めた故田中正さんに当地でのスケート隆盛の訳を尋ねたことがある。答えは「冬に少雪で低温、沼や沢が多い3条件があったから」と明快だった。凍った沼でのスケート遊びに始まり、伝わった競技が人心を捉えて約1世紀。暮らす選手やチームが国内頂点や世界へ雄飛する歴史の流れは今なお尽きることがない。ここへまた巡ってきた冬を生きる者として感慨も尽きない。(谷)