苫小牧と近郊の海岸のサケ釣りは厳しい釣況が続いている。3連休後半も各ポイントに釣り人が多数繰り出したが、いい釣果は聞かれない。ぶっ込み釣りで一帯で数匹上がる程度だ。それでもさおを振らなければ始まらないのが釣り。浮きルアーで実釣にトライしたところ、ちょうど40センチの大サバがさおを曲げてくれた。
今季のサケ釣りは、シーズン開幕の8月下旬から全道的に魚影が薄い。オホーツク方面でも釣果は激減しており、胆振日高エリアでは一級ポイントでわずかに釣果が見られる程度だ。
苫小牧周辺に至っては錦岡・錦多峰川の河口規制(9月1日~12月10日)が始まる前に河口の浮きルアー釣りで数匹の釣果があったが、9月に入ってからは錦岡、樽前でのぶっ込みでまれに釣れるレベル。釣況を反映して、朝まずめを過ぎると釣り人の姿はまばらになる。
ならば厳しい状況でこそ釣果情報を得よう―と、波の状態が落ち着いた中旬の早朝、釣り倶楽部担当が樽前の海岸でサケの浮きルアー釣りに臨んだ。
タックルは、長めの13フィートのロッドに1・5号のPEラインを巻いた5000番台のスピニングリールをセット。ラインにはスペーサーでPE3号をつなぎ、直結したフロロカーボン8号のリーダーに浮きルアーのシステムを組んだ。
この日はうねりがやや高かったこともあり、ルアーは遠投の利くスリムタイプの50グラムのスプーンを選択。餌はえび粉をまぶした塩締めのフクラギを付けた。
50メートルほど離れた所では、青物狙いとみられる釣り人がジギングを楽しんでいた。やがてロッドが大きく曲がった。何を掛けたのか様子をうかがっていると、波間から出てきたのは良型のサバ。近寄って声を掛けた。「サバが釣りたくてメタルジグを投げた。うれしい」と表情を緩めた。
少し間を置いたところで、サケ狙いの釣り倶楽部担当にも魚信。デッドスローでルアーを引いていたリールのハンドルに急ブレーキがかかってさおが大きくしなり、浮きの辺りの水面が弾けて水しぶきが2度飛んだ。ドラグを鳴らす強い引きだ。魚はサケと信じて少しドラグを絞る。強引にならないように波打ち際まで寄せたところで波に乗せ、一気に砂浜に引っ張り上げた。
現れたのはやっぱり40センチ級の大サバだった。力が抜けた後に落ち着いて振り返れば、引きは強くてもサケの重量感はなかったと納得する。
市内の海岸ではこのところ各所でサバやフクラギのはねやボイルが見られる。サケの魚影は薄い一方、青物はまだまだ濃いようだ。