バイオシミラーって? 先行医薬品と同質、同等

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  • 2024年9月5日
バイオシミラーって? 先行医薬品と同質、同等

  ジェネリック(後発)医薬品が普及してきているが、「バイオシミラー(バイオ後続品)」についてはどうだろうか。バイオ医薬品の「後続品」であり、有効性や安全性が「同質・同等」とされるバイオシミラーについて、亀田総合病院(千葉県鴨川市)薬剤部の舟越亮寛部長に聞いた。

   ▽シミラーとは「類似」

   医師が処方する一般的な医薬品の場合、新薬(先発医薬品)の特許が切れた後に同じ有効成分を使って作られるジェネリック医薬品がある。有効性や安全性が同等で、安価に作られるため薬価も先行品の7割から半分程度に抑えられている。いずれも、低分子と呼ばれる小さな化合物でできており、化学的な構造は比較的単純だ。

   一方、近年のバイオ技術を用いて、生物(細胞やバクテリアなど)が作るタンパク質(成長ホルモンやインスリンなど)から製造されるバイオ医薬品は分子が大きく、構造が複雑。一般医薬品では改善が見られなかった病気にも効果が期待できる上、副作用が少ないとされる。

   がん、自己免疫疾患(関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病)、糖尿病、加齢に伴う目の病気である加齢黄斑変性などの治療に使われている。先行するバイオ医薬品の特許が切れた後に発売されるのがバイオシミラーだ。シミラーとは「類似」を意味する。

   「例えば、同じ種類の和牛の同じ部位でも全く同じ肉はありませんが、『同質・同等』という認識で流通しています。バイオシミラーもそのような意味合いです。医薬品ですから、ヒトを対象とした臨床試験で有効性や安全性が同質・同等であることは確認されています」

   ▽「世界的に恩恵を」

   バイオシミラーも薬価は7割程度に抑えられている。バイオ医薬品の薬価が高額なため、患者の自己負担や国の医療財源も軽減される。ただし、薬剤の使用量や患者の年齢によっては負担軽減にならないケースもある。

   バイオシミラーに興味や関心があれば、まず薬剤師に尋ねるのがよいだろう。「ご自分の使用しているバイオ医薬品にバイオシミラーがあるかを薬剤師に確認してください」。あまり効果が感じられなければ元のバイオ医薬品に戻したり、別のバイオシミラーに切り替えたりすることも可能だという。

   「バイオ医薬品はさまざまな病気の治療に役立てられていますが、その恩恵を受けられる患者は世界的に見てごく一部です。バイオシミラーが普及することで、個々の患者の医療費負担の軽減だけでなく、貧富の差などに関係なく恩恵が受けられる患者が世の中で増えることを願っています」と舟越部長は話している。

  (メディカルトリビューン=時事)

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