プラスアルファの熱中症対策を 夏に運動楽しむには

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  • 2024年8月22日
プラスアルファの熱中症対策を 夏に運動楽しむには

  高温、高湿度の中、室内で行うスポーツでも熱中症への備えが必要だ。猛暑がもたらす運動へのリスクや効果的な熱中症対策について、早稲田大学スポーツ科学学術院(埼玉県所沢市)の細川由梨准教授に聞いた。

   ▽外と内から体を冷やす

   運動時の熱中症対策は小まめな水分・塩分補給と、本格的に暑くなる前に汗をかいて体を暑さに慣れさせる「暑熱順化」が基本。しかし、「空調のある生活が続き、暑熱順化ができないまま、夏の猛烈な暑さにさらされる状況では、プラスアルファの熱中症対策が必要です」。

   体を冷やす方法としては、外側から冷やす「外部冷却」と、内側からの「内部冷却」がある。氷水に浸し、滴る程度に水分を残した薄いタオルを3~4枚使って広範囲を冷やせば、体の中心部分の体温「深部体温」を効果的に下げることができる。

   「アイスパックや凍らせたペットボトルを首筋や脇の下に当てて冷やすだけでは、皮膚温は下がっても効率よく深部体温は下がらない。運動強度に合わせた使い分けが必要です」

   内部冷却として、液体に微細な氷の粒が混じったシャーベット状の飲み物「アイススラリー」もお薦めだ。スポーツドリンクを凍らせてミキサーで砕き、魔法瓶に入れて自分で作ることもできる。

   ▽夏は量より質を重視

   熱中症予防のポイントは「複数の対策の合わせ技」。アイスタオル(水にぬらして振ると冷たくなる物)で体を冷やしながら、冷たい飲み物で水分を補給するなど、「外部冷却と内部冷却の組み合わせで、より効率的に体を冷やせます」。

   屋外スポーツでは、直射日光を避けられる休憩場所を確保する。夏場は30分活動したら10分休むことを心掛けたい。屋内でも、空調設備の状況や運動強度によっては熱中症の危険性がある。連日の熱帯夜で疲労が蓄積する中、環境に応じた柔軟な対応が熱中症予防の鍵になる。

   「当日の天候によって運動量や強度を調整するなど、あらかじめ具体的な対策を決めておくとよいでしょう。1週間以上運動を休んだ際は、段階的に活動を戻すのがポイントです」

   暑熱環境下では、「運動を中止する勇気を持ち、運動をする際は『運動の量より質』に意識を向けてみてください」と細川准教授は助言する。

  (メディカルトリビューン=時事)

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   早稲田大学スポーツ科学学術院の所在地は郵便番号359―1192 埼玉県所沢市三ケ島2の579の15。

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