球技といえば小学校の高学年の頃、軟式野球の練習を数週間したことがあるだけ。村内の学校対抗の大会が開かれ、体の大きかった自分には1塁手が割り当てられた。ワンバウンドした送球が顔に当たるのが怖くて目を閉じ、監督の先生にボールをぶつけられた。初めての試合は負けだったと思う。翌年の記憶はないから大会もなかったのか、卒業したのか。スポーツに、泣くほど取り組んだことがない。全力で走れなくなって感じた後悔は、老いてからいよいよ大きくなる。
第33回夏季五輪パリ大会が閉幕した。「平和の祭典」は、ロシアがウクライナに侵攻、イスラエルがパレスチナ自治区ガザを攻撃して、あらかじめ戦火に血塗られていた。観客を巻き添えにした残虐なテロこそなかったものの、大会中に停戦や休戦が実現することは、ついになかった。しかし五輪旗に集った選手たちのたくさんの勝利の笑顔や感動的な涙をテレビ画像で繰り返し見せてもらった。日本は北海道を含め「危険な暑さ」の続く酷暑の夏。巨大地震「南海トラフ」震源域での震度6弱地震の発生や台風5号の東北襲撃も五輪に重なってしまった。
28日からは、第17回夏季パラリンピック・パリ大会が開幕する。競技者たちに秋風を添えて、声援を送りたい。(水)