核と戦争

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  • 2024年8月12日
核と戦争

  長崎市で9日行われた原爆の日平和祈念式典にイスラエルの駐日大使が招待されず、先進7カ国(G7)のうち日本を除く6カ国と欧州連合(EU)の駐日大使らが欠席したことが報じられた。

   イスラエルを招かないのは、戦争を続ける「ロシアやベラルーシと同列に扱う政治的な判断」と各国が反発したためだ。長崎市は「式典を穏やかに終わらせるため」と政治的判断を否定したものの、理解は得られなかった。世界で最後の被爆地長崎市で核廃絶と恒久平和を願う一大セレモニーに水を差された格好だ。

   イスラム組織ハマスの襲撃を受け、イスラエルのパレスチナ・ガザ地区への攻撃が始まって10カ月。ハマス壊滅を理由に圧倒的な戦力で、学校や病院にもミサイルを撃ち込む。ガザの犠牲者は3万5千人を超え、その半数がハマスと無関係な子供や女性という。一刻も早い停戦が求められる。兵器に核と銃弾、ミサイルの違いがあっても平和を希求する気持ちは誰も変わらないはずだ。

   日本は北朝鮮、ロシアに囲まれ、安全保障環境が悪化の一途をたどる。このため米国の「核の傘」に依存する拡大抑止を日米トップが確認した。核廃絶と他国の核に依存するダブルスタンダード。どう整合するか丁寧な説明が必要だ。(教)

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