大腸の「くぼみ」に炎症 便秘、肥満の60歳以上にリスク

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  • 2024年7月30日
大腸の「くぼみ」に炎症 便秘、肥満の60歳以上にリスク

  加齢により、腸の一部が袋状にくぼむ「憩室」(けいしつ)が表れることがある。腸管のどこにでもでき、特に大腸が多い。大腸憩室そのものは病気とは言えないが、細菌感染によって発熱などが起きると大腸憩室炎として治療が必要になる。広島大学病院(広島市)総合内科の原武大介医師に話を聞いた。

   ▽60歳以上に多く

   日本で大腸憩室を持っている人は2割程度とされ、増加傾向にある。「大腸カメラで内部を観察すると、腸にくぼみが見られることがあり、それが大腸憩室です。特に60歳以上によく見られます。1カ所だけでなく複数箇所にできることもあります」

   くぼむ理由ははっきりしていないが、可能性の一つとして考えられるのは、腸の内部の圧が高まることだ。「腸が内側から常に押されている状態になり、加齢で弱くなった腸壁の一部がくぼんでしまうと考えられます」

   ▽炎症で腹痛、発熱

   大腸憩室がすぐに問題になることはない。しかし、細菌が感染し炎症が起きると、腹痛、発熱、吐き気、下痢、便秘、血便などの症状が表れ、治療することになる。

   「抗菌薬を5~7日間飲めば、炎症と症状を抑えることが可能です」。痛みが強かったり、食事が取れなかったりするときは、点滴で水分と栄養を補給することもある。

   大腸憩室炎のリスクになるのは、腸内の圧が高まりやすい便秘や肥満の人。脂肪や赤身の肉、白米など精製された穀物の摂取が多いこともリスクと考えられている。「見方を変えれば、食物繊維の豊富な野菜・果物、未精製の穀物を多く取ること、運動も組み合わせて肥満を防ぐことが、予防につながるでしょう」。喫煙者は非喫煙者と比べ、大腸憩室炎のリスクが高いとも言われる。

   大腸憩室炎は腹部の左右どちらかに発生することが多い。原武医師は「特定の部分だけが痛く、発熱を伴うときは、大腸憩室炎の可能性があります。早めに受診してください」とアドバイスする。炎症が落ち着いた後、大腸カメラの検査を受けることも勧めている。

  (メディカルトリビューン=時事)

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