苫小牧で初夏までに、ハマナスの咲く浜辺でヒバリがさえずる声を聞き、湿地のある所の上空では赤道以南から渡って来るオオジシギが上昇と急降下を繰り返す元気な姿を目にできて安心した。早朝の自宅周囲木立にはスズメのほか、シジュウカラなども現れ、観察をしてきた。
先週の朝、一羽のカラスがわが家の切り妻屋根てっぺんに上って小職を見下ろし、ガーガーと鳴いた。見覚えある、頭頂部が少し出っぱったハシブトガラス。「燃やせるごみ」収集日の朝方によく飛来する一羽と特定した。拙宅の庭を家主も気にせず堂々歩き回る個体であった。
起床後すぐに庭へ出る習慣だが、今夏は楽しみがあった。食べた実の種を植えたサクランボ「佐藤錦」の木が思いがけず育ち、今年初めて頭上で手を伸ばせば触れそうな枝に実が4粒成ったのを確かめていた。収穫時期を迷う間、ピンクがかった実はあのカラスを見た朝、一切無くなっていた。庭に足形など人跡は見当たらない。勝ち誇るように鳴いた個体は近傍の辺りを縄張りにするつがいの一羽で昨夏は恐らくその子ガラスが路上で落命している様子も見た。野鳥は懸命だ。
落胆後の朝食に特売で買ったパイナップルを食べたらことさら甘美。「ま、いいか」と思い直してから出勤した。(谷)