偽広告

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  • 2024年5月10日
偽広告

  IT(情報技術)化の進展で、難しい言葉や地名、行ってみたいレストランなど分からないことはスマートフォンやパソコンで検索すれば、その答えはすぐ返ってくる。この便利の道具は、もう生活に欠かせなくなった。

   ただ、物事を調べるためにクリックすると、出てくる情報に連動して「広告」が現れる。これまでは少しの違和感はあっても、たまにはその広告をクリックして商品を確認したこともある。広告がもしかしたら偽物という感覚はない。

   ところが著名人の顔写真や名前を無断で使い、SNS上で投資を促す広告による詐欺被害が相次いでいるという。「そんなうまい話がある訳がないのに」という指摘はもっともだが、AI(人工知能)を使って、著名人が本当に話しているかのような音声まで流し、言葉巧みに投資を持ち掛ける。巧妙化する手口を思わず信じ込んでしまうという。

   4月には被害者の男女4人がSNS運営会社の日本法人を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こした。名前をかたられた著名人も声を上げ始めた。だが、日本の法的な規制は欧米に比べて緩い。対策が検討されるようだが、まずは自己防衛が先決だ。顔の見えない相手を簡単に信用しない。常に意識することだ。(昭)

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