子どもの睡眠不足に注意 不登校の原因にも、家庭で確認を

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  • 2023年9月20日
木田哲生・堺市教育委員会主任指導主事

  不登校は、長期の休み明けに増える傾向がある。その原因の一つに、生活リズムの乱れによる睡眠不足がある。教育と睡眠の関係に詳しい木田哲生・堺市教育委員会主任指導主事は「まず保護者が子どもの睡眠状況を把握する」ことを助言する。

   文部科学省は2020年に小中学生の不登校に関する調査を実施。約90~180日間不登校だった場合、欠席し始めた時期を見ると、小学生は4月が32・1%、9月が13・7%。中学生では9月が23・5%と最も多く、4月は13・4%だった。

   また、同省の不登校の実態調査(20年実施)によると、「最初に行きづらいと感じ始めたきっかけ」として、「先生のこと(合わなかった、怖かったなど)」(29・7%)、「身体の不調」(26・5%)、「生活リズムの乱れ」(25・7%)などが上位に挙がった。

   児童・生徒の体の不調について、民間資格の「上級睡眠健康指導士」として活動する木田さんは「夏休み中と2学期以降の生活リズムにずれが生じやすい」と指摘する。

   「夏休みの間に遅寝遅起きを続け、学校が始まって早起きの生活に変わると、遅寝早起きの状態になり、睡眠不足になる。この状態が続くと不調が生じ、不登校につながる可能性がある」

   睡眠不足による体調不良は、学校が再開して数日は体力でごまかせるが、「9月は気温がまだ高めで体力を消耗しやすいこともあり、2学期開始から1週間ほど過ぎた頃から本格的に出てくる」。

   子どもが睡眠不足かどうかをチェックするには、体のだるさといった具体的な症状のほか、土日の起床時間を確認するとよい。休日の朝に平日より90分以上遅く起きている場合は、睡眠が不足している可能性が高い。

   子どもに何時に寝て起きたかを聞き取り、睡眠時間を書き出す方法もある。そうすると、子どもが問題を自覚しやすくなるという。

   「夏休みで続けた生活リズムは1週間くらいでは戻らない。保護者は1カ月程度は意識して見ていてほしい」と木田さんはアドバイスしている。

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