(8) ベッドガード使わないで 隙間に落ち窒息の恐れ

  • ニュース, 医療のお話
  • 2023年5月3日
隙間に挟まって窒息に至れば、数分で死亡する恐れがある

  赤ちゃんを安全に寝かせるには、どのような環境をつくるとよいのでしょうか?

   大人用ベッドからの転落を防ぐための「ベッドガード」で起きた事故について考えてみます。2017年、ベッドガードとマットレスの間にできた隙間に赤ちゃんが挟まり、窒息して死亡する事故が2件続けて起きました。うち1件では、両親が製造販売会社に対して9300万円の賠償を求める訴訟を起こしました。

   製品安全協会の「SG基準」によると、ベッドガードは生後18カ月未満では使用禁止です。亡くなった赤ちゃんは生後9カ月と6カ月でした。赤ちゃんが寝返りをするなどしてベッドガードに体重がかかったとき、ガードが外側にずれ、ベッドとの間に隙間ができます。その隙間に赤ちゃんが落ち、窒息してしまうのです。

   隙間ができることを保護者が知っていてタオルで埋めていたのに、子どもが挟まれたケースも報告されています。母親が目を離していた時間は2分で、すぐに気付いたため死亡には至りませんでしたが、事故はわずかな時間にも起きるのです。

   ベッドガードは、インターネットオークションサイトなどで「べビーガード」として売られている場合があり、注意が必要です。17年の事故の1件でも、両親がこうしたサイトを見て赤ちゃん向けの製品だと思い、購入されたということです。

   専門家は、ベッドガードで隙間ができないようにするのはとても難しく、生後18カ月以上であっても、子どもが利用するのは危険だと警鐘を鳴らしています。

   保護者は、まずベッドガードの使用を中止すること。そして社会が安全基準を定めることによって、安全な製品の開発につなげることが強く求められます。

  (大野美喜子・セーフキッズジャパン理事、イラストはカモシタハヤト)

過去30日間の紙面が閲覧可能です。