アイスホッケーアジアリーグのレッドイーグルス北海道DF橋本僚が中学と高校の教員免許を取得した。アイスホッケー選手と並行して通信制大学を卒業した橋本は「先生になることは小学校時代からの夢。両立できてとてもうれしい」と目尻を下げた。
橋本は2011年に北海高校から王子イーグルス(当時)に入団。ルーキーイヤーを終えた12年に日本大学通信教育部の文学専攻に入学したが、通学を要する科目が多く1年で退学。「文学部では卒業は難しいと判断した。しかし選手と並行してもやれる実感を得た」と振り返る。
日本代表の活動も増え、学生生活を再開したのは17年の春だった。通学回数が単位取得に影響しない同大学の経済学科に2年次編入し、12年に取得した単位を持ち越した。通常の学部課程に加え、教職課程も履修するためにシーズンオフは東京のキャンパスへ通った。シーズン中も遠征先にパソコンを持ち込み、遠隔授業やリポート作成にいそしんだ。「期限のある課題も多く、試験も年に4度あった。代表活動で時間が取れず、厳しい時期も長かった」
それでも両立を諦めなかったのは、幼少期からの夢のためだった。弟が下に2人いたことから遊びのルールを教え、面倒を見る機会が多かった。その姿を見ていた小学校時代の教員に「先生に向いている。目指してみたら?」と声を掛けられたのがきっかけだ。その時から目指す職業の一つに教員が加わった。
昨年6月、母校の北海高校で3週間の教育実習に励んだ。9月に大学を卒業し、中学の社会、高校の地理歴史と公民の教員免許を取得。今年2月末に免状が3枚届いた。プロアイスホッケー選手が現役中に同免許を取得するのは「前例がない」という。
選手と学生の二足のわらじをやり切った橋本は「時間効率と計画性の重要さを学んだ。目標から逆算することはアイスホッケーにも通ずる」と話す。引退後は教員として第二の人生を歩み、「アイスホッケーに固執せず、いろいろな部活動に関わるのも一つの楽しみ」と頬を緩めた。