都市部に住む高校生が地方の高校に留学する「地域みらい留学365」(高校魅力化事業)の取り組みで、東京都練馬区にある富士見高校の矢代茉鼓さん(16)、千葉県柏中央高校の本郷夏奈さん(16)がこの春から1年間、むかわ町の鵡川高校に留学する。2人は2学年に入り、学校生活を送る。
矢代さんは4日に来町し、すでに町内でそばやすしを堪能したほか、地場産のイチゴやレタスを味わった。「自然が豊かでおいしいものがたくさんある」と好感を抱いた様子で「単純にエンジョイしたいのもあるが、将来何がやりたいのか、自分自身についてよく分かっていない。むかわでしかできないことをしながら、やりたいことを見つけていきたい」と話す。
まちおこしに関心があり、在籍校では学校のある練馬区を盛り上げようと、ゆるキャラをPRする取り組みにチャレンジ。今回の留学では「SDGs(持続可能な開発目標)の探究を通じ、田舎の活性化、住み続けられるまちづくりに挑戦したい。農業、漁業の取り組みにも参加し、むかわ町を盛り上げていきたい」と目を輝かせる。
5日にむかわ町に入った本郷さんは、実際にまちを歩いて「真っすぐな道が多くてびっくりしたのと、お店に入っていろんな方とお話した時、温かく、優しく話し掛けてくれるのでありがたかった」と印象を語る。
自身について、「アイデンティティーが形成できていない。何が好きで、苦手なのかを自覚し、自分の意見をしっかり発信できるようになりたい」と成長を誓う。またギターが得意で、在籍校にはなかった軽音楽部に興味があると言い、「どうしたら部活動として立ち上げることができるかを学びたい」と意気込む。
2人は7日に町役場を訪れ、関係者にあいさつ。竹中喜之町長は「これをきっかけに行ったり来たりできる縁ができれば。1年間、健康に楽しんでください」と激励した。
地域みらい留学365 高校2年生の1年間を、在籍している都市部の高校とは別の地方の高校で過ごす国内留学制度。地方ならではの豊かな自然や世代を超えた仲間たちに囲まれながら、課題に向き合う時間を過ごし、その後の高校生活や人生にもつながる「自らみらいを創る力」を育む。地域留学生は在籍校に籍を置いたまま留学先で1年間を過ごし、3年生時に在籍校に戻る。このほか、中学卒業後3年間を地方で過ごす「高校進学」タイプの留学制度もある。