白老町を拠点に活躍した版画家大野重夫さん(1930―2017年)の作品展が、町大町のカフェ結で開かれている。苫小牧市の錦大沼や樽前山のほか、白老のポロト湖近くに咲くミズバショウや窟太郎(くったろう)山の雪景など、自然や風景を題材にし、地元愛にあふれた視点で表現した作品がずらりと並ぶ。作品は途中で入れ替え、今月末までは開催する。
大野さんは札幌市で生まれ、鵡川町(現むかわ町)で育った。大学卒業後、中学校の美術教員となり、白老中学校に長く務めた。版画家としては北海道版画協会に所属し、米国ボストン市での北海道木版画作家展、道立近代美術館での同協会会員展など数々の展覧会に出品し、地元ゆかりの風景の美しさを表現した。
同店での作品展は2020年以来3年ぶりで、大野さんと生前親交があった町竹浦の佐藤春光さん(72)=社会福祉法人ホープ常務理事=が企画した。展示するのは、ミズバショウが咲き誇るポロト湖の春の風景、冠雪した窟太郎山、錦大沼の冬景色、支笏湖越しに噴煙を上げる樽前山などを鮮やかなタッチで表現した作品など約15作品。遺族から預かった作品の半数で、入れ替えにより残る作品も展示する。
佐藤さんは「白老を愛した大野さんの版画を多くの方に知ってもらいたい」と話し、店主の田村尚華さん(48)は「白老の自然を見詰める大野さんの優しさや温かい視線を感じることができる作品をぜひ味わって」と呼び掛けている。
作品の販売にも応じ、大きさにより2000円台から8万円台の価格帯で扱う。益金は遺族に返還するほか、町内の福祉団体への寄付として活用される。