少子化による児童数の減少により3月末で115年の歴史に幕を閉じるむかわ町の宮戸小学校(金澤堅一校長)の閉校記念式典が26日、同校体育館で開かれた。在校生や卒業生、来賓など約150人が出席し、思い出の詰まった学校への惜別と感謝の思いを共有した。
同校は、1907(明治40)年12月に創設された。近年は少子化の影響で児童数が減少し、ここ数年は10人台で推移。これを受けて3月限りで閉校し、鵡川中央小学校に統合される。
式典の中で、竹中喜之町長は「四季折々、数々の思い出があり、卒業生の皆さんが各地で活躍されている。学校の果たしてきた役割を改めて感じる」と式辞を述べ、在校生に向けて「大勢の仲間と学ぶことに最初は戸惑うと思うが、校歌の歌詞にある『明るく強く 生きんとて』のように、より強く、大きく成長されることを期待している」とあいさつ。金澤校長は「思い出は決して消えず、深く長く皆さんの心の中に刻まれていくと確信している。宮戸小で学んだことを誇りにし、人生の糧としてほしい」とエールを送った。
在校生には記念品として校歌のオルゴールが贈られ、受け取った齊藤雅莉佳さん(11)、藤本昊良君(11)、磯部玄君(11)の5年生3人が「閉校するのはとても寂しいですが、今まで歌ってきた校歌を忘れることはありません。いつまでも大切にします」と謝辞を述べた。発表では「完全燃焼」と書かれた法被を羽織った児童が力いっぱいに和太鼓演奏とよさこいソーラン踊りを披露し、保護者や関係者が大きな拍手を送った。
同校の歴史を紹介するスライドが大型スクリーンで映し出された後、6年生の辻野宗一郎君(12)と山下祥弥君(11)が「目指すべき道を示してくれた校旗を、宮戸小児童としての誇りと感謝をもって返納致します」と、竹中町長に手渡した。
この日は校内を卒業生に開放したほか、同校の歴史を伝える写真や作品などを展示し、出席者が思いをはせた。同校の卒業生で鵡川高校1年の佐久間まみさん(16)は「宮戸小が好きだったので参加した。これで終わっちゃうのは悲しいけれど、校舎が思い出として残ってくれたら」と話していた。
宮戸小学校 1907年12月に鵡川尋常小学校井目戸分教場として認可を受け、その後、鵡川小学校宮戸分教場など度重なる校名変更を経て、52(昭和27)年12月に今の場所に校舎を移転。54(同29)年4月に宮戸小として独立した。88(同63)年12月に今の校舎となった後、2010年に少人数特任校に指定されている。田植えから稲刈りまでを全校児童で行う米づくり体験や木育といった特色ある教育活動、住民も参加して行う宮戸地区連合運動会など、地域と共に歩んだ。卒業生は1400人を超え、在校生は2~6年生の10人。