より良い地域の在り方をテーマに調査、研究を進める旭川大学保健福祉学部コミュニティ福祉学科の2年生6人が21日、厚真町の公営塾「よりみち学舎」を訪問した。スタッフと顔合わせし、公営塾の取り組み内容や課題、スタッフの思いなどを聞き取りした。
同学科の大野剛志教授ゼミで行う調査研究の一環。本研究は、移住者が公営塾のスタッフとして運営に携わっている点や地元高校生と地域とのつながりに注目して進めている。
聞き取りでは、スタッフの山中卓也さん(41)、加藤千昇さん(30)、川嶋圭さん(28)が現状を伝えた。
山中さんは、厚真高校の生徒の大半が近隣の苫小牧市から通っていることに言及し、「地域の人との関わりがあまりなく、そこをつないでいくのが役割」と説明。高校生と町民が話す機会をつくったことなどで「最初はなかった地域との関わりが、次第に『高校生、楽しくしているね』『何かあれば手伝う』と言ってくれるなど、高校生に興味を持ってくれるようになった」と手応えを挙げた。
加藤さんは公営塾の取り組みについて「塾と聞くと、勉強とイメージしやすいが、そこに固執はしていない。卒業後の進路で就職希望者が多いこともあり、将来、自分がどうなりたいのか、見つけるためのサポートをしている」と活動を紹介。「公営塾がサードプレイス的な立ち寄る場所にはなったが、町には面白い大人たちがたくさんいる。ここにこだわらず、外に連れ出して触れ合いの場をつくり、厚真高に通う生徒を魅力的にすることを意識している」と話した。
また、川嶋さんは拳玉や音楽など「こちらからさまざまなコンテンツを提案し、生徒が何をしたいのかニーズを把握しているところ。よりみち学舎で人生の選択肢を増やしてくれたら」と言い、「自ら人生を切り開いていける生徒を育てたい」と意欲を語った。
さまざまな経歴を持ち、海外生活も経験している3人の話にゼミ生たちは真剣に耳を傾け、ペンを走らせていた。ゼミ長の齊藤愛奈さん(20)は「その人のやりたいことを応援する、人生を切り開くためのサポートをする、という影響力があると感じた。主体性を持たせ、自発的に動く力、生きる力に教育には必要だと改めて認識させられた」と振り返る。
学生たちは、今後も公営塾や厚真高生と関わりを持ちながら調査を深堀りしていく考えで「公営塾に通う生徒とスポーツなどで交流できれば」と話していた。